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在庫管理システム「スマートマットクラウド」を徹底解説|重量で数えるIoT在庫管理の実力と注意点

  • 「部品の発注を忘れて、予定数の生産が出来ない」
  • 「誰かが発注していると思ったのに誰も手配してなかった」

部品や資材の多い工場だと、発注漏れで納期カツカツになってしまった経験はありませんか?

私は過去20年の間で何度もこのような場面を見てきました。

つい本業に追われて後回しになってしまう「部品や資材の管理」

これを「在庫の下に敷くだけで解決できる」ツールがスマートマットクラウドです。

この記事ではそんな便利なスマートマットクラウドについて

便利な点はもちろん、導入前に気を付けたいポイントを解説します。

製造業DXを実際に作って検証しています

製造業のDXツールは導入事例が多いですが、「実際に作ってみた検証記事」はあまり多くありません。

当ブログではノーコードで作れるAIワークフローツール

  • Dify
  • Make

これらのツールを使って日報解析DXツールを構築、検証しています。

プログラミング知識なしで出来る、ノーコードツールでつくる製造日報解析システムの制作過程を

▼【ズボラDX研究所】で連載しているので合わせてご覧ください。

目次

スマートマットクラウドの概要

スマートマットクラウドとは、

  • IoTセンサー搭載の「スマートマット」の上に在庫を置くだけで、
  • 重量から在庫数を自動計測し、
  • クラウド上でリアルタイムに把握・発注・分析まで行える

在庫管理システムです。

バーコードやQRコードを貼る必要がなく、

  • ネジやボルト
  • 液体
  • 粉体
  • 巻物(溶接ワイヤー等)

といった「数えにくいモノ」も、重量ベースで管理できるのが最大の特徴です。

紙やExcelで「誰かが数えて・打ち込んで・発注判断していた」業務を、

置く・取るだけで自動化できるため、

  • 棚卸し工数の大幅削減
  • 発注漏れ
  • 二重発注の防止
  • 属人化の解消

を狙う現場に適しています。

一方で、商品マスタ(品目・重量・単位・しきい値など)の登録に手間がかかるので、

導入前には

  • 「何をどこまで自動化したいか」
  • 「マスタ整備と初期設定にどれだけ工数を割けるか」

を明確にしたうえで検討することをおすすめします。

数えづらい資材が多く、棚卸し・発注に人手と時間がかかっている会社には効果を実感しやすく、

品目が少なく単価も安い場合は、投資対効果を見極める必要があります。

スマートマットクラウド公式サイト

ツールの特徴

「重さで数を数える」IoT型の在庫管理

スマートマットの上に在庫を置き続けるだけで、重量の変化から在庫数を自動計測します。

バーコードやRFIDのように品目ごとにラベルを貼る必要がなく、

  • ネジ/ボルト
  • 薬品
  • 粉体
  • 液体

など、従来「数えるのがストレス」だった資材も、

個・グラム・メートルなど管理単位を設定すれば一元的に扱えます。

マットはA3〜A6サイズやマルチマット(複数枚で1単位)、耐荷重2kg〜500kgまでラインナップがあり、

冷蔵・冷凍庫内での稼働実績(IPX3防沫対応、要件あり)もあるため、

現場の置き場所に合わせて選べます。

自動発注・しきい値管理

  • 定量発注(常に決まった量を発注)
  • 定期発注(減った分だけ発注)

を設定でき、しきい値を下回るとアラートやメールで通知する設定も可能です。

発注先ごとに発注サイクル最低発注金額を設定できるため、

「送料がかかる小口発注を避けたい」といった事情にも対応できます。

  • infomart
  • Medicode
  • オータスカリPro
  • アスクル

など提携ECとの連携により、発注まで自動化する運用も可能です。

発注漏れによる部品の欠品やライン停止を未然防止する手段としても期待できます。

分析・可視化・AI提案

  • 在庫金額の推移、
  • しきい値に対する水準のグラフ、
  • 不動在庫の特定、
  • 欠品リスクの日次検出など、

溜めたデータを可視化してPDCAを回しやすくする機能があります。

生成AIによる在庫最適化提案や、最適化の成果をまとめたレポート生成にも対応し、

経験や勘に頼っていた発注量・発注タイミングの見直しをデータで行いやすくなります。

複数拠点・客先在庫の一元管理

同一商品を複数拠点や客先に置いている場合でも、同一商品コードで合算表示でき、

クラウド上で「どこに何がいくつあるか」を一覧で把握できます。

現場に赴かなくても在庫状況を確認できるため、

紙やExcelで各拠点から数字を集めて集計していた業務が不要になります。

スマートマットクラウド公式サイト

現場目線で見た3つのメリット

1. 棚卸し・在庫確認の「足を運んで数える」がなくなり、工数が大幅に削減される

  • 紙の棚卸表を持って倉庫や現場を回り、
  • 一品一品数えてExcelに打ち込み、
  • 後から理論在庫と照合する——

そんな運用をしている現場では、1回の棚卸しに数十時間かかるケースも珍しくありません。

ある製造業の事例では、

  • 1回あたり60時間以上かかっていた棚卸工数を約50%削減
  • 週15時間以上かかっていた入出庫関連作業も約7〜8時間に短縮

したという導入事例も紹介されています。

スマートマットクラウドでは、マットの上に置いてある限り重量が自動で計測されるため

  • 目視での在庫管理がなくなった」
  • クラウド上で在庫状況が見えるようになり、確認作業が大幅に減った

という声が多く、確認工数を約1/3に圧縮できたという事例(NTT東日本 板橋サービスセンター)も公式に紹介されています。

紙やExcelで月末にまとめて棚卸ししていた会社では、

その時間を本業や発注判断・品質管理に回せるようになる点が、大きなメリットです。

2. 発注漏れ・二重発注が減り、「誰かがやってくれる」依存から脱却できる

「在庫が○○個になったら発注する」とルールは決まっていても、

  • 担当者が休むと発注が遅れて欠品したり
  • 複数人が同じ品目を発注して過剰在庫になったり

そんな経験がある現場は少なくないでしょう。

スマートマットクラウドでは、しきい値を下回るとアラートやメールで通知される上に

定量・定期発注の設定により発注業務そのものを自動化できます。

  • 発注漏れの解消
  • 在庫がみえる化したことで、常に在庫に意識を向けなくてよくなる
  • 属人化していた発注が自動化され、業務負荷が減る

こういった、ムダな時間を削減し、常に適正在庫をキープできるようになります。

紙の申し送りやExcelの担当表に頼っていた発注業務が、

システム任せになることで、人的ミスや「誰かがやるだろう」という曖昧な運用が無くなります。

3. 数えにくいモノ(液体・粉体・小物)も「置くだけ」で管理でき、記録の抜け漏れが防げる

  • ネジ
  • 薬品
  • 試薬
  • 粉体
  • 液体

など、数えるのに時間がかかる

または個数で管理しづらい資材は、

これまで手書きの出納記録やExcelでの打ち直しに頼りがちでした。

とくに劇毒物や医療・化学系の資材では、

使用量の記録の正確性が十分でないと、監査指摘につながるケースもあります。

スマートマットクラウドは重量ベースで計測するため、液体・粉体・巻物なども

「マットに置く」だけで残量が把握でき、入出庫の自動記録により

理論在庫と実在庫の乖離を減らせます。

記録と実態のズレをなくすことで、監査対応がしやすくなる点もポイントです。

スマートマットクラウド公式サイト

導入前に知っておくべき懸念点

商品マスタの登録に手間がかかる

品目ごとに

  • 「1個あたりの重量」
  • 「管理単位(個・g・mなど)」
  • 「しきい値」
  • 「発注先・発注単位」

などを登録する必要があり、

  • 初期設定として商品の重量などのマスタを登録する必要性
  • マスタ登録に手間と時間がかかる

紙やExcelで管理していた品目を一括で移行する場合、

実際の重量や単位の統一など、マスタ整備に工数と時間を要することを前提に、

導入スケジュールと担当者のリソースを確保しておく必要があります。

ここを疎かにすると、運用開始後も

  • 「数字が合わない」
  • 「しきい値が現場と合っていない」

といった不満が出やすくなります。

Wi-Fi・通信環境への依存

クラウド型のため、マットからのデータ送信にはネットワーク(Wi-FiまたはSIM版)が必要です。

  • Wi-Fi版の接続が良くない
  • 通信が不安定になることがある

など、運用する倉庫の環境や地下・電波が届きにくい場所では、

  • 通信障害時に計測が止まる
  • 反映が遅れる

こういったリスクも考えられます。

オフラインでは機能しないため、自社のネットワーク環境を確認し

場合によってはWi-Fi環境を整備する必要性もあります。

重量に個体差がある品目は1個単位の厳密管理が難しい

「1個あたりの重量」を基準にするため、重量にばらつきがある部品や資材では、

1個単位での厳密な在庫数管理は難しいと言えます。

重量の誤差がある品目は「重量÷平均単重」の登録にして

おおよその個数を把握する運用になることを理解したうえで、導入するかどうかを検討する必要があります。

例.1個10g 1,000個/箱入りの製品の場合

製品重量の交差が±1%程度(9.9g~10.1g)と過程して

  • 標準重量:10g×1,000個=10㎏
     →10㎏(総重量)÷10g(マスター登録重量)=1,000個
  • 交差上限:10.1g×1,000個=10.1kg
     →10.1㎏(総重量)÷10g(マスター登録重量)=1,010個
  • 交差下限:9.9g×1,000個=9.9kg
     →9.9kg(総重量)÷10g(マスター登録重量)=990個

このように、実際には同じ1,000個入りにしたとしても

登録しているマスターの重量との差があれば

表示される個数にも影響が出てきます。

あくまでも重量管理なので、重量のばらつきがあるものについては

正確な個数の管理は出来ないと思っておいた方がよいでしょう。

他の在庫管理ツールや、システムを知りたい方は厳選したツールをまとめたこちらの記事が参考になります。

コスト感と投資回収イメージ

料金プラン(スマートマットクラウドの公式・公表料金について)

スマートマットクラウドの料金は、

公式サイトおよびPRONIアイミツなどの第三者サイトでも「要問い合わせ」となっており、

公表された料金表はありません。

実際の料金を知るには、

公式サイトからの資料請求や問い合わせが必要です。

想定ではありますが、マットの台数・サイズ・機能範囲によっても

初期投資額、月額利用料が変わると想定されます。

投資回収のイメージ

投資回収についても実際のコスト表が公表されていませんが

導入事例では、投資費用の1.5倍の効果があったという事例も紹介されています。

参考:スマートマットクラウド導入事例

向いている会社 / 向いていない会社

向いている会社

  • 数えづらい・数えるコストが高い資材が多い会社
  • 棚卸し・発注に人手と時間がかかっている会社
  • 品質・法令・監査で「記録と実態の一致」が求められる会社

液体・粉体・ネジ・ボルト・溶接ワイヤー・薬品・試薬など、

個数で数えるのが大変な資材を多く抱えている現場では、

重量で自動計測できるメリットを活かしやすいです。

  • 月末の棚卸しに数十時間かかっている
  • 発注担当の属人化で欠品や二重発注が起きている

こういった課題がある会社では、工数削減と自動発注の効果を実感しやすいといえます。

複数拠点の在庫を一元管理したい場合も、クラウドで合算表示できるので総在庫の把握に役立ちます。

  • 劇毒物の使用量記録
  • 医療・化学系の出納管理
  • 棚卸資産と実在庫の乖離指摘

など、記録の正確性が求められる業界では、自動計測・自動記録により

属人化の防止と記録漏れを削減できます。

向いていない会社

  • 品目が少なく、手作業でも十分回っている会社
  • 重量に個体差が大きく、1個単位の厳密管理が必須の会社
  • ネットワーク環境が整備できず、オフライン運用が多い現場
  • マスタ整備や初期設定に工数を割けない会社

管理品目が少なく、紙やExcelで棚卸し・発注を短時間で回せている場合は

システム導入のコストと手間の方が大きくなる可能性があります。

また、部品の重量ばらつきが大きく、

在庫数は「個」で厳密に合わせたい要件が強い場合は

重量ベースの計測だけでは限界があるため

バーコード等との併用や他システムの検討が必要になることがあります。

クラウド型のシステム全般に言えることですが、通信が不安定な場所では運用できません。

導入検討する場合は、事前にWi-Fiなどのネットワーク環境を確認し

必要に応じてネットワーク環境を整備しましょう。

個人的なスマートマットクラウドの感想

正直、一個人が評価なんていうのもおこがましいとは思うんだけれど

百も承知で、ここからは個人的にはどう思うかという感想を書きたいと思います。

その前に筆者がどんな経歴なのか簡単に
  • 製造業一筋で約20年
  • 現場経験は10年ほど、成形工場を赤字➔3か月で黒字回復したことも
  • 外部との交流(1000社ほど)もあり、様々な工場も見てきた
  • この道一筋何十年というスペシャリストではないが、製造業のことは幅広く知っています

製造業において必須ともいえる「3定管理」(定位置・定品・定量)ですが

中小企業では正直、しっかりと運用できていない企業も多いのではと思います。

このスマートマットクラウドの個人的に一番良いと思うところは

  • 強制的に「3定管理」を実装する。

というところです。

このスマートマットクラウドを導入することによって、

  • 定位置(どこに置くか)が決まり
  • 定品(何を置くか)をルール決めし
  • 定量(どれだけ置くか)はシステム的に補助してくれる

棚はあるけど同じ部品があっちこっち置かれてしまう現場に対しても

『ここに置かないと情報が崩れる』と意識付けするきっかけにもなり

結果的に「いつでも同じところに同じ部品が置いてある」状態を維持しやすいのが最大のメリットだと思います。

一方で、調査してて気になったのが

価格情報が一切クローズなところ

マットの導入にあたっての初期投資、ランニングコスト含め情報が全く出ていなく

全て個別見積りなのが一番勿体ないと思う。

ある程度概算の価格シミュレーションでも公表されていれば

「このくらいなら導入できそうだな」って層からも問い合わせくると思うのに・・・。

それと、プラスチック成形品のような「軽くて数が多いもの」は恐らくこのツールでは

厳密な管理は無理です。

重量管理という特性上、管理できるもの、出来ないものは明確に分かれてくるので

何の在庫管理や数量計算で苦労しているか、実態調査の上で

個別見積を取得した方がよいと言えます。

⑦ まとめ

スマートマットクラウドは、「マットの上に置くだけ」で

  • 重さから在庫を自動計測
  • 棚卸し業務の効率化
  • 自動発注
  • 適正在庫の分析

までクラウドで一元管理できるIoT型在庫管理システムです。

紙やExcelで「数えて・打ち込んで・誰かが発注していた」業務から、

『ものを置く』『ものを取る』だけで自動化できるため、

棚卸し工数の大幅削減・発注漏れ・二重発注の防止・属人化の解消に効果が期待できます。

自社で在庫管理に時間を取られている部品、資材があれば

そういったものから導入検討してみてはいかがでしょうか。

スマートマットクラウド公式サイト

別のシステムも気になる方は、UIが洗練された使いやすいツールを厳選したこちらの記事もオススメです。

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この記事を書いた人

【この記事を書いた人】
製造業に身を置いて20年。製造現場でDXや業務改善に関わってきた個人。
失敗や遠回りも含めて、現場目線で書いています。

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